サマースクール2009 「重力が生命を進化させた?」
2009年7月19日


「生命進化と人類史」を新しい視点から捉え直す
 2009年7月19日から22日にかけて、ヨハネ研究の森の「サマースクール2009」が実施されました。公開セッションの講師に、丸山茂徳先生と西原克成先生をお招きして、生命の進化と人類の歴史について独自の視点からのお話を伺いました。

 ダーウィンが『種の起源』で、「突然変異」と「自然選択」によって生物の進化が起こるという進化論を唱えました。そのダーウィンが生れてちょうど200年。現在この進化論は、多くの支持を得て、教科書などでも扱われているくらい「常識」となっています。 しかし、改めて生命の進化を考えてみると分からないことばかりです。「突然変異」とは一体何なのか。「自然選択」とは。たとえば、突然変異は一つの個体で起こるものです。それでなぜ種全体が変化し、別の種が生まれるのか。本当に「突然変異」と「自然選択」で進化が起こるのでしょうか。
 西原克成先生は、口腔科医として研鑽を積むために、比較解剖学の第一人者である三木成夫先生に師事して、脊椎動物の進化を研究されました。その中で、脊椎動物が水中から陸上へ上がるときに軟骨から硬骨へと進化する原因が、重力の増加による行動様式の変化であることを発見しました(水中では浮力が働くため重力が6分の1になっている)。
 今年のサマースクール初日は、重力が生物を進化させたという西原先生にお話を伺います。

 西原克成先生 公開セッション

 サマースクール初日、重力対応進化学を唱える西原克成先生をお迎えしてスタートしました。世界に先駆けて人口骨髄を発明し、これを用いて実験進化学手法により骨髄造血の謎を解明するとともに、進化学と免疫学の謎を究明。病気の予防と治療の可能な新しい生命科学に触れます。


重力対応進化学

脊椎動物三つの謎。「進化がどうして起こるのか?」、「免疫系はどうなっているのか?」、「骨髄造血はなぜ高等動物のみに発生するのか?」。
 西原先生は、軟骨魚類のサメを陸上に上げ、水中にいた生物が陸上に進出したときと同じ環境の変化を与えました。
 水中では低い血圧でも血液を循環させることができますが、陸上にあがると6倍の重力がかかり、血が下に溜まっていきます。血液が循環しなくなってしまったサメは苦しみ、もがきます。そうして、バタバタともがくことで、血圧が上がり生き延びることができるのです。このとき、血圧が上がったことによって、血管内を流れる血液の抵抗が変化し、微弱な電流が血管内を流れます。その電流によって、遺伝子が発現し、軟骨動物のサメに硬い骨と骨髄造血細胞ができました。遺伝子の突然変異ではなく、重力の変化に対応して進化が起きたのです。
 西原先生は、さらに進化学と免疫学の謎を究明し、病気の予防と治療の可能な新しい生命科学を作り、実践されています。 今回の公開セッションでは、自ら問いを立て、仮説を持ち、実践する西原先生にその一端をお話しいただきました。

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生命科学にブレイクスルーを拓く


西原 現在の医学あるいは一般の生命科学というのは、エネルギーという考え方がすっぽりと抜け落ちています。生物が健康で生きるためには、このエネルギーを考えなければならないのです。その極めて重要なエネルギーの中でも完全に忘れ去られているのが「重力エネルギー」です。
 人類は直立二足歩行をします。これは、四足で歩くよりも二倍の重力がかる。倍の負担がかかるので、人類はとても疲れやすい。だから、よく寝ることが必要です。大人でも1日8時間は寝る。そうしなければ骨髄造血層が疲弊してしまい寿命が縮みます。
 もうひとつ重要なエネルギーが体温を保つためのエネルギー。恒温動物の我々が冷たいものを食べると、これも大きな負担が体にかかります。例えば0℃以下のアイスクリームを食べれば、胃や腸の温度が下がります。それを元の37℃にしなければなりません。このとき、大きなエネルギーを消耗してしまいます。冷たいものを食べている人は体を温めるために命を削っているのと同じです。
 また、口呼吸をすると、のどの温度が下がります。のどの温度が1℃下がるとそこにいる細菌が自動的に白血球にのって全身を回ります。そして体中がばい菌で冒されてしまいます。
 口呼吸は、人間だけが持つ構造的欠陥です。私は、三木先生に「因果律で考える」ということを教えてもらいました。「何かがそうなっていることには、因果、つまり原因がある」ということです。この欠陥は、言葉を話すために生まれました。進化は体の使い方で起こります。ダーウィンの言う突然変異では進化は起こりません。そう私は考えています。


内臓が生み出す心 現代医学の盲点


 昔、心は脳にあると思ってその研究をした人がいました。メンフィールドなどがそうです。
 しかし、脳はただの電極であるというのが私の持論です。心は脳にあるのではなく、内臓にあります。このことを検証するのは簡単で、内臓を移殖すればいいのです。これにより移殖を受けた人間の心は変わってしまいます。そういう実例を『内臓が生み出す心』に書きました。
 アメリカのクレア・シルビアというダンサーが心肺同時移植を受けました。その後、夢にドナーの男の人が現れてきて、その人の名前までクレアはわかってしまいました。クレアの心はすべて変わってしまい、好みもすべて変わってしまいました。
 心臓が動いているかぎり内臓にある心は残っています。脳死を人の死と決めて、本当は心は生きているのに、死んだことにしてその人の臓器を別の人に移殖してしまう。するとその人の心が移殖された側にうつってしまう。現在アメリカでは大変なことになっています。
 だから本当は臓器移殖はしない方がいい。しかし、今の世の中で臓器移殖はすでに大きな産業になっています。一昼夜の手術で約一億円も動くのです。だから、移殖に反対する僕の本は絶対に流行りません。今の世の中で移殖に逆らった人は消されてしまいます。
 現代医学の盲点は、心の病です。いわゆる精神疾患になる原因は、実はただのばい菌です。だいたいが無害な腸に住んでいるウィルスが、脳に細胞内感染を起こしているのです。
 「神経なくして筋肉なし。筋肉なくして神経なし」です。例えば手の筋肉が勝手に動いている人を見たら、この人は脳炎だとすぐにわかります。そのことを知っていればテンカンなどは実によく治せます。
 こういう病気になるのは決まってめちゃくちゃ冷たいものが好きな人。体が1℃下がると冷血動物の遺伝子が発現して、腸のばい菌が全身をめぐります。それはもちろん脳にも達します。それが脳炎を引き起こすのです。


治る免疫学

 免疫病は、エネルギーの欠乏から起こります。人間の体でそのエネルギーを作ってくれているのは、ミトコンドリアです。
 ミトコンドリアがエネルギーを作るのを邪魔しないように、正しく生活をすれば病気になりません。
 最後にミトコンドリア博士、つまり私の八正道をお伝えします。

1 正息
  正しい呼吸つまり鼻呼吸、横隔膜呼吸をする。
2 正食
  冷たいものを食べない、飲まない。42℃の水を飲むとよい。
3 正咀嚼
  右顎、左顎偏りなく、良く噛んで食べましょう。
4 正姿勢
  常に正しい姿勢をとること。
5 正排
  便秘などにならず、きちんと排泄をする。
6 正体操
  スポーツのような激しい運動ではなくゆるやかな動きをすること。
7 正思 正眠
  正しい思想を持って正しい睡眠をとること。骨休めをすること。
8 正座礼光
  光を浴びて体を温かくすること。

 これを心がけると、ミトコンドリアが活発になって、免疫力が上がります。病気にならず、健康的に生きることができるでしょう。