
サマースクール2025(3/3)
この夏、「ことばが世界をひらく」というテーマを扱う上で、お話を伺いたいと考えたのが太田先生でした。
講演会にて
インタビューを通し、相手の「字面」としての「言葉」を狭く捉えるのではなく、その背景にあるものを見つめ、生き生きとリアルに、鮮やかに描き出す「ことば」を持つ太田先生にとって、「自分のことば」とは何か。
スタジオジブリで数々の名作アニメーション映画を生み出してきた高畑勲監督へのインタビュー記事をもとに、その問いに迫りました。
「僕の仕事は書くことだから、話すことは本業じゃない。だから、皆さんが質問してくれるのならお話できるような気がする」
講演会にあたって太田先生がリクエストされた、「双方向的な対話の場にしたい」という思いを受け、私たち自身が記者となって、先生にインタビューさせていただくような気持ちで講演会に臨みました。
しかしお話が始まると、先生は穏やかに、けれども情熱的に、次から次へと話題を広げ、膨らませ、飛躍し、どこまでもお話してくださいました。
自己表現としての「ことば」というよりも、インタビューという「対話」をつくりだすものとして、いかに相手に届き、面白い話を引き出すかという観点で「ことば」について考えているという太田先生。誰も見たことのない新たな側面を引き出す、当意即妙の「問い」の極意は、事前に相手について徹底的に学び、その作品で心を動かすほど、深く共鳴すること。それは私たちの日頃の生活の中でも大切にするべき、「相手を見る」ことでもあるのだといいます。相手のことばの意図を汲み、その場で信頼関係を築き上げていくことが、太田先生が「最も豊かな会話」と考える「充実した雑談」を生み出すことに繋がるのです。
私たちは記者として取材先で相手と共に「ことば」を創り出す太田先生の見ている世界を見せていただいたように思います。
さらに「ことば」についてのお話だけでなく、仕事におけるモチベーションの維持や、仕事とは何かという生き方についてのお話、そして高畑勲監督と宮崎駿監督というスタジオジブリの双璧を成す名監督の資質や視点の違い、高畑勲監督がインタビューの中でおっしゃっていたとっておきのお話など、数々の心に残る「ことば」をいただきました。
講演会は大盛況で、記念撮影の後も、太田先生に質問をしたいヨハネ生が長蛇の列を成していました。太田先生は時間の許す限り、あたたかく丁寧に答えてくださいました。
次なる太田先生との「対話」の場を楽しみに、ヨハネ生一同、日常を通して、「自分のことば」に向かってまいります。
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このように今年度も豊かな実り多きサマースクールを開催することが出来ました。猛暑の中、元気いっぱいに参加してくれたサマースクール生との出会いにも感謝しています。また、皆様とお会いできる日を楽しみにしております。


