
サマースクール2025(2/3)
「ことばが世界をひらく」をテーマに、「自分のことばとは何か」を問うた今年度のサマースクールでは、太田啓之先生(朝日新聞記者)から、サマースクールのための特別講演でお話いただきました。
太田先生とヨハネの出会い物語
ヨハネ研究の森と太田先生の出会いは2018年の夏に遡ります。太田先生が手掛けた朝日新聞GLOBEの特集「『天才』の育て方」にて、ヨハネ研究の森の卒業生である姫岡優介さんが取り上げられることとなったのです。
姫岡さんは、東京大学大学院での研究論文が高い評価を受けてデンマーク・コペンハーゲンのニールス・ボーア研究所に招聘された「若き天才」として注目を集めました。太田先生は、彼がどのような場で「天才」へと成長していったのかを探ろうと、ヨハネに取材にいらっしゃったのです。
当時その場に居合わせた主任研究員や先輩たちは、太田先生の取材の姿勢に感銘を受けて、「なんて素敵で、面白い方なんだろう!」と思ったのです。
「新聞記者さんにとって、文章を書くことは容易なことであるはずです。しかし太田記者は、ここに来てくださった短い時間の中でも、作業や仕事としてではなく、時間の許す限り、身体を投じて、”同じものを見る”、共同注視をしようとしてくださいました。
私たちヨハネ生は、この場に没入し、”ヨハネの学び”を身体で学んできました。それをことばに乗せようとして、上手くことばにしきれない時、太田記者は、その背景に何があるのかを一緒に見ようとしてくださいました。先入観に当てはめようとるのではなく、共に探ってくださったのです。」
太田先生はヨハネ研究の森に丸々2日間、朝から晩まで取材をされました。その後本コースのモデルとなった仙台の私塾や、姫岡さんのご両親にもインタビューされ、さらには海を越えてコペンハーゲン大学にも足を運ばれたそうです。
太田先生は、こうした情熱的かつ徹底的なインタビューを通し、「才能を伸ばすこと」と「共に学ぶこと」の関係、という切り口からヨハネの教育哲学の深くまで迫られ、のちに「学生時代から探し続けてきたものにようやく巡り会えたのかもしれない」とおっしゃいました。
世界を分かち合える喜びの中で、共に一つのものを見ようとする「共同注視」。ヨハネ生はその中で、自ら学ぶ人へと変容していく。太田さんはそのようにお考えになり、この「学びの共同体」に未来への希望を見出してくださったのでした。



